令和四年居合道錬成講習会

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2022年(令和四年)3月12日(土曜)東京武道館主催の居合道錬成講習会に参加してきました。

午前は講義「武道による倫理観の体得~欧米文化との対比で考える~」、午後は実技「全日本剣道連盟居合」でした。

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午前の講義は日高義博先生(刑法学者、居合道五段)による次の目次の示す深い講義でした。(※それぞれテーマの中で印象に残ったことを{}書きさせていただきました(^^))

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1.はじめに

(1)テーマ設定の趣旨

(2)倫理観の迷走と刑法

(3)武道による倫理観の体得の重要性

{法の根底には倫理がある。法(刑法)をいくら厳しくしても倫理が崩壊していると法は遵守されない=社会秩序は乱れる。}

2.新渡戸稲造の「武士道」を紐解く

(1)なぜ「武士道」を書いたのか

(2)新渡戸稲造の歩いた道のり

(3)日本の近代化における道徳体系としての武士道の位置づけ

 {対世界においては、日本ではどうかを示せなければまったく相手にされない。}

3.武士道の捉え方

(1)生死の狭間における武術

(2)職業倫理としての武士道

(3)武士の終焉と武士道の倫理体系のゆくえ

 {士農工商において唯一の非生産的職業身分であるが故に求められ確立された倫理}

4.オイゲン・ヘルゲルの目から見た不立文字の世界

(1)「日本の弓術」を紐解く

(2)ドイツ語で書くことの難しさ

 {言葉をそのまま訳しても通じない→言葉の意味するところと相手の立場・背景を理解して説いていかなければ}

5.日本刀に何を託すのか

(1)日本刀の特質

(2)GHQの廃刀令を乗り越えた美術刀剣

(3)修養の道標としての役割

 {刀を通して心が映る}

6.今日における武道の意義

(1)スポーツと重なる部分と重ならない部分

(2)武道の根底にある倫理化の体得から道徳体系へ

 {倫理と道徳の違いとは}

 {人を殺せば法で罰せられる→では、なぜ人を殺してはいけなのかを説明できるか?}

 {倫理=社会生活の中での行動規範}

 {道徳=どうやって生きていくのか=つまり、どうやって死んでいくのか→道徳には行動が伴わければならない。言葉ではなく行動によって理解し身につけて示す→個の確立}

 {9割は教えても最後の1割は教えない→突き放し考えさせ行動させる}

 {言葉では教えない、行動で背中で教える}

午後の実技講習「全日本剣道連盟居合」の風景からいくつか・・・

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午前の実技講習では、教本の読み解き方、技術とは、重心移動、極めると止まるの違い、左右の手の内、片手の手の内など大変勉強になりました。

例えば、技術とはでは・・・

「こめかみにしか抜き付けられない」のと「こめかみにも抜き付けられる」は雲泥の差!

同様に「真向に切り下ろす」においても、常に正面ではなく相手がよけたり避けた方向(例:斜めとか)にも自在に応じられるのが技術です!

とのことでした。稽古内容も見直さなければですね(;^_^A

あと、やはり仮想敵は見えないとダメなようです・・・見えそうで見えない?!